日本社会臨床学会第19回総会ごあいさつ

日本社会臨床学会第19回総会ごあいさつ

 

飯島勤(総会実行委員長)

 

日本社会臨床学会が志してきたことが、いまほどためされる時はないと思います。3月11日に襲った東日本大震災は、第二次世界大戦以来の甚大な被害をわが国にもたらしました。さらにその中で勃発した福島第一原発事故の恐怖は、いまだかつてなき国難のおとずれを感じさせます。会員のみなさまも、現在さまざまな事情のもとにあることでしょう。はたして被害はいかがだったでしょうか。お元気でしょうか。心配です。
今回の総会は、2011年5月14日(土)・15日(日)に飯島の勤務する帝京科学大学の東京都足立区の千住キャンパスで行うことになりました。大震災の余燼さめやらず、予期しがたい混乱もありうる中、とにかく総会が決行されます。日本社会が直面した、この大きな試練に、「社会臨床学」の名において、いかに相対していくのか、みなさまとともに、真剣に語りあわねばならないと考えます。
総会の日程は、山田潤さんの記念講演と、シンポジウムIで「発達障害」の問題、シンポジウムIIでは不安定雇用の問題などを語りあうことになっています。いずれも重要な今日的テーマであるとともに、その問題現象はまた、はからずも震災によりたちあらわれた各種の問題と密接にかかわりあい、あるいは根っこをひとしくしているのではないでしょうか。いったい、私たちの社会はどこに向かうのか、私たちは何をなすべきか、そうした根源的問題を内包しているのだと思うのです。
「反原発の市民科学者」といわれた高木仁三郎さん (1938-2000) は、癌におかされた最期の病床から、私たちに痛切なメッセージを残しました。
「残念ながら、原子力最後の日は見ることができず、私の方が先に逝かねばならなくなりましたが、せめて『プルトニウム最後の日』くらいは、目にしたかったです。でも、それはもう時間の問題でしょう。すでにあらゆる事実が、私たちの主張の正しかったことを示しています。なお、楽観できないのは、この末期症状の中で、巨大な事故や不正が原子力の世界を襲う危険でしょう。(中略)後に残る人々が、歴史を見通す透徹した知力と、大胆に現実に立ち向かう活発な行動力をもって、一刻も早く原子力の時代にピリオドをつけ、その賢明な終局に英知を結集されることを願ってやみません。私はどこかで、必ず、その皆さまの活動を見守っていることでしょう。」(『原発事故はなぜくりかえすのか』所収「友へ」岩波新書 2000)
高木さんの憂いが、ついに現実のものとなってきました。憤怒と後悔の念にかられるばかりです。原子力問題について高木さんは、「議論なし、批判なし、思想なし」と言ったことがあります。原発問題にかぎらず、私たちはこの警句を重くうけとめ、そのような風潮から少しでも自らを解放する努力をしなければならないのではないでしょうか。どうかみなさま、万障を繰り合わせ、今回の日本社会臨床学会総会にご参加いただき、こうした思いを共有していただけたら幸いです。
なぜか今年の春は鳥の声を聞かないと思っていたら、やはり4月になるとそこここで小鳥たちが歌っています。来たる総会の日も、澄みきった五月晴れの下でまばゆい新緑に包まれ、私たちが新たな元気を生み出す契機となることをひたすらに願いつつ、ご案内といたします。

 

 

日時

2011年5月14日(土)・15日(日)

 

場所

帝京科学大学千住キャンパス本館5階1508教室
 (東京都足立区千住桜木 2-1-1 http://www.ntu.ac.jp/tust/)
(交通手段:JR常磐線、東京メトロ千代田線・日比谷線、東武伊勢崎線等で「北千住」駅下車。北千住駅よりバスの場合:北千住駅西口2番・4番乗り場北01〜北05のバスに乗車し約5分、千住桜木バス停下車徒歩1分。北千住駅より徒歩の場合:西口より直進、千住竜田町信号を右折後、千住桜木バス停を左折。徒歩15分。駐車スペースを確保できませんので、電車、バス等の交通機関をご利用ください)

 

参加費・交流会費

参加費・2,000円
交流会(5月14日夜)参加費・3,500円