日本社会臨床学会第24回総会のご案内

2016年度の日本社会臨床学会総会は、東京都北区滝野川会館にて開催します。

今回の総会は、定期総会と記念講演、二つのシンポジウムから構成されています。

なお、参加にあたっては事前予約などは必要ありません。当日、直接、会場受付までお越しください。

日本社会臨床学会第24回総会

開催日・場所

日時:
2016年5月21日(土)・5月22日(日)
会場:
滝野川会館(東京都北区西ケ原1-23-3)(小ホール5F)
参加費:
3,000円(2日間)、2,000円(いずれか一日のみ参加)、1,500円(学生等)
交流会参加費:
3,500円

プログラム

5月21日(土)
10:30受付開始
11:00--12:00定期総会
13:00--17:00シンポジウムI 精神科医療の現状と課題
18:00--20:00交流会
5月22日(日)
9:30受付開始
10:00--12:00〈記念講演〉反精神医学と非精神医学を超えて---イタリア地域精神保健の人類学から
  講演者 松嶋健
13:00--16:30シンポジウムII 「不登校」問題をめぐる状況を考える

〈記念講演〉(2日目午前)
歓待の場としての「わたし」と「地域」---イタリア精神医療の人類学から(仮題)
講演者 松嶋健(広島大学)

イタリアでは精神科病院を廃絶して久しい。なぜそんなことができたのか。なぜ今日まで続いているのか。松嶋氏は 2004 年から 2011 年にかけて、イタリア中部の精神医療をフィールドワークした。思索を著書『プシコ ナウティカ』(「魂の航海」の意、2014 年刊行、世界思想社)にまとめた。前半で、改革の指導者フランコ・バザーリアの思想や精神医療改革の現状を語る。後半も魅力的な問題提起があふれる。システムをはみ出す「生(生きる)」の「歓待」、「対話と争いに開かれた『弱い主体』の生きる場」としての「地域」、そして一対一の「治療関係」を変える「集合的主体化」の共同作業とは何か。氏の体験と思索をじっくりとお聞きしたい。(文責 学会運営委員 根本俊雄)

シンポジウムI 精神科医療の現状と課題

2008 年に『社会臨床の視界 2 精神科医療 治療・生活・社会』(現代書館)を出版しましたが、このところ、学会としては、教育における発達障害は取り上げても、総会で、精神科医療についてシンポジウムを組むことは久しぶりです。

社臨にとって精神科医療という分野は一つの柱であり、ここに「継承と展望」をもてるかどうかを見つめることが、今期と来期の課題の一つだと思っています。とりわけ、今回は病院医療を焦点化したいと考えています。それに即して考えれば、入院・退院・治療方法・治療関係というテーマがすぐに頭に浮かびます。そこで、それらから3つの話題を取り上げようと考えました。探っていくと通底するものがあるかもしれませんが、必ずしも共通のテーマを求めているわけではなく、精神科の病院医療の問題を拡散的に取り上げ、それらから継承テーマと新たな課題を捉えていければよいと考えています。以下に、話題提供の内容についてお知らせしますが、シンポジストと話を煮詰めていく中で、内容に若干の変更が生じるかもしれませんし、話題提供の順番は決定ではありませんので、ご了承いただけたら、と思っています。

話題提供について。まず、精神科医の中島さんから、「精神科救急、急性期医療の現状と問題点」について話してもらいます。精神科医療でも近年救急医療が打ち出されるともに、急性期医療施策も展開してきました。いわば、精神科医療への入口、入院に関わる領域です。これらにどのような政策的・医療的意図があるのか、それらの現場がどうなっているのか、その現状と課題を、治療法等を含めて話題提供してもらいます。

次に、心理職の本間さんが、退院促進の動きの中で政策化されようとしている「病棟の施設化」問題を取り上げます。これは、退院促進がはかどらない厚労省の苦肉の策とも見えます。この施策が、「どんな理念から、誰の利益をめざして、どこに負担をかけていく」施策なのかを、切開してもらいながら、地域医療をめざすはずの日本の精神科医療の現状について話題提供してもらいます。

最後に、三輪から、2015 年の国会審議で法案通過した「公認心理師法」について問題提起をします。心理職の国家資格化問題は、1991 年に、社臨が日本臨床心理学会と袂を分かって誕生する契機となった問題です。この問題に発言機会が多かった三輪は、日本臨床心理学会改革路線の資格・専門性批判の論点をふまえつつ、心理職の国家資格化とは何なのか、公認心理師法について話しながら、治療関係の問題性を含んで話題提供します。(文責 学会運営委員 三輪壽二)

話題提供者
中島直(多摩青葉病院精神科医)
本間公朗(東京足立病院心理職)
三輪寿二(茨城大学)
司会
根本俊雄(NPO法人SAN Net青森)・我妻夕起子(学会運営委員)

シンポジウムII 「不登校」問題をめぐる状況を考える

2014 年に文科省の教育再生実行会議は第五次答申を出し、フリースクール、インターナショナルスクールの位置付けを明確にし、夜間中学の設置を奨励するよう提言しました。それ以降、安倍首相が東京シューレを訪れるなど動きは活発となり、普通教育を十分に受けていない人たちに多様な教育機会を確保することを目的とした「多様な教育機会確保法案」も国会に上程されようとしています。ただ、この法案の名称も中身も変化しそうで、行方は今のところ不透明です。

この動向を契機に多くの人たちの中で多岐にわたる問題が議論されてきました。

「不登校」に関する問題だけでなく、学校制度に関する問題、公教育そのものをどう捉えればよいのかという問題等々についてです。私たち社会臨床学会もこういった議論につらなり、状況をどうとらえるのか、どう行動していけば良いのか、について考えを深めていく場を設定したいと思います。

状況変化の中で早くから問題を提起してこられている山下耕平さん、石川憲彦さん、そして学会運営委員からは中島浩籌が発題者となり、戸恒香苗さん、山岸竜治さんを司会に、シンポジウムを開催したいと思っています。みなさんどうぞご参加ください。(文責 学会運営委員 中島浩籌)

話題提供者
山下耕平(NPO法人フォロ)
石川憲彦(林試の森クリニック)
中島浩籌(学会運営委員)
司会
戸恒香苗(学会運営委員)・山岸竜治(日本大学生産工学部)

今総会に関するお問い合せは、以下の連絡先までお願い致します。

戸恒香苗(学会運営委員)
電話:080-1353-1063
メール:shakai.rinsho@gmail.com